マイクロフォーサーズと最軽量レンズがつくる軽快カメラシステム
サブカメラで持っていきたいけど荷物がかさばる。
スナップで氣楽に撮りたいけどレンズが大きい。
PENやG100など小型カメラを使用しているけどレンズはどれがいい。
LUMIXとOM SYSTEMからそれぞれパンケーキズームが販売されているけど、
実際どちらを選ぶほうが良いのだろう。
単焦点もいいけどたまには氣楽にズームレンズも楽しみたい。
こんな悩みや希望はないでしょうか。
本記事ではマイクロ・フォーサーズにピッタリのパンケーキズームを紹介します。
最後まで読んで頂ければ自身に合ったパンケーキズームを選ぶことが出来ます。
本記事の内容
- パンケーキズームの特徴がわかる
- 電動と手動の特徴がわかる
- メーカーごとのパンケーキズームについて理解できる
マイクロ・フォーサーズは小型で始まり小型で終わる
マイクロ・フォーサーズは小型軽量を得意とするカメラ。
2013年、LUMIXからGM1というポケットに入りそうなカメラが発売。
本格的な撮影を可能にしながらスマホ顔負けの小型軽量が世間に知れ渡りました。
昨今ではマイクロ・フォーサーズも大型化されつつあり、
機能的な面で充実が図られましたが、一方で小ささを魅力とする姿が失われつつあります。
かわいいカメラがいい!
マイクロ・フォーサーズを使い続けてきたユーザーの中には、
本来の小型軽量に立ち戻って欲しいという声も聞くほど。
マイクロ・フォーサーズ=小型軽量という図式は発売初期から不変ともいえます。
小さなセンサーサイズは解像度やノイズの面で引けを取るという意見はあるものの、
裏面照射積層型 Live MOS のお陰でそんな課題もかなり改善されています。
解像度だけじゃなく高感度撮影にも目を向けたいね
メーカーの立場は高機能・高性能化によって高付加価値カメラの創出を図りたい。
一方ユーザーの立場は小型軽量カメラの登場を望みたい。
マイクロ・フォーサーズはある意味で局面を迎えていると言い換えることもできます。
小型軽量化を達成するにはカメラだけではなくレンズも重要な要素。
中でもパンケーキレンズは小型軽量化に最も有効なレンズです。
勝負レンズとお氣軽レンズ
撮影には2種類あります。
1つ目は一眼レフ・ミラーレスなどファインダー付きカメラで撮影に専念。
2つ目は出かけるついでに小型カメラを連れ出し良い被写体を見つけたらパチリ。
それぞれの撮影スタイルで持ち出すカメラやレンズが異なります。
前者はOM SYSTEMのPROレンズやLUMIXのLEICA系レンズを駆使し徹底的にこだわる。
後者は作品的要素を求めつつもお洒落な撮影スタイルを楽しむ。
氣楽にスナップするだけでも写真は楽しい
このような撮影行為ではカメラはそっとカバンに忍ばせておきたいアイテムなので、
できるだけコンパクトで済ませたいところです。
中でもパンケーキレンズは出かけるついでに持ち出したい最も有力な候補生。
小ささは史上最も小さいズームレンズとも称されるほど。
単焦点レンズに引けを取らない小ささです。
小さいレンズの魅力には勝てないね
レンズの大きさはレンズ直径自体もありますがレンズ長は設計で自由に変化可能。
直径はマウントとセンサーサイズに依存するため劇的な変化は困難ですが、
レンズ長はレンズの構成に深く関わる部分なので倍率と性能のバランスで決まります。
短さを最優先とするなら沈胴式レンズ一択。
ただ沈胴式レンズはマウント部にレンズを取り付けるだけでは撮影はできません。
ズームを回転させ決められた画角に設定して初めてスタンバイ完了。
沈胴式レンズはしきたりみたいな動作があるよ
初動はやや面倒ながら沈胴式レンズのメリットは収納時の小ささにあります。
沈胴式レンズの中でもパンケーキレンズは群を抜いてコンパクト。
マイクロ・フォーサーズはレンズ口径が小さくことからレンズ直径はもともとコンパクト。
さらにレンズ長の短いパンケーキレンズならスマホ顔負けの小型カメラの実現です。
電動と手動はどっちがいい
マイクロ・フォーサーズのパンケーキレンズには電動タイプと手動タイプが存在します。
電動タイプはカメラのスイッチを入れるだけで自動的に撮影スタンバイにしてくれます。
手動型は手でズームリングを回さないと撮影スタンバイにはなりません。
沈胴状態のままだと「ズームリングを回してください」などのメッセージがモニターに表示。
一般的なレンズに慣れていたなら戸惑いもありますが、
使いこなしていくとあまりの便利さに手放せなくなります。
記事では電動式と手動式それぞのメリット・デメリットを述べてみたいと思います。
電動式のメリット・デメリット
電動式はカメラと連動するのでスイッチひとつでレンズの繰り出しが自動です。
そのため撮影したい場面があれば電源オンでシャッターを切るだけ。
即座に撮影が可能です。
電動式は撮り逃しが無いという大きなメリットがあります。
またカメラのスイッチを切ればレンズも自動で収納されるため、
レンズが飛び出したまま鞄に収納するなどのトラブルに遭うことがありません。
忘れがちな沈胴式だけに電動は便利
ズームはレバーひとつで変化させることができるので回す手間が省けます。
他方で電動式はレンズ繰り出しやズームの度に電力を必要とします。
そのためカメラの電池が少なくなってきた場合などは撮影枚数に影響します。
またズームレバーは稼働幅が狭いこともあり、細かなズーミングが苦手。
思い通りの焦点にズーミングしたくてもなかなか言うことを聞いてくれない場面も。
ただズーミングにぎこちなさが発生しないことから、
電動ズームは動画撮影に活躍しそうです。
電動式はレンズの制御すべてが電気なので雨や塵などによるトラブルに見舞われると、
撮影現場で対処しきれなく可能性があります。
何事もパーフェクトは存在しない
つまり電動式レンズがカメラと連動している影響で、
撮影そのものができなくなることも考えておく必要があります。
できることなら保険的に単焦点などを持参するなどトラブルに対処しておきたいものです。
手動式のメリット・デメリット
手動式は文字通り人の手を使って任意の焦点距離までズーミングさせます。
焦点距離がレンズに刻み込まれているのでどの画角で撮影しているのか明白です。
手動なので不必要に電気を費やすこともありません。
一方でマウントに取り付けたあとわざわざ手動でスタンバイにしなければならず、
レンズ繰り出しだけ忘れなければ手動式は便利
レンズを繰り出していなかったことでシャッターチャンスを逃すことも。
またレンズが飛び出したで収納せずレンズをぶつけるトラブルも発生しがちなので注意です。
M.ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 EZ
このレンズはOM SYSTEMから発売されている唯一のパンケーキズーム。
初代の手動式から現在のパンケーキズームになって電動式に変わりました。
電動式ズームはこちらの4代目で採用。
レンズ名末端のEZはElectronic Zoomから来ています。
沈胴式ズーム採用で3代目となるM.Z. D. ED 14-42mm f/3.5-5.6 II Rより遥かにコンパクト。
レンズ先端部にはピント合わせ用リングが設置されマニュアルも可能に。
ZERO コーティングでフレアやゴーストを抑制、高コントラストで色の正確な画像を実現。
オートフォーカスにMSCを採用したことでほぼ無音のオートフォーカスを演出します。
ZUIKOの名に恥じない写りが良いね
カメラの電源をオンにするとレンズが自動で繰出しスタンバイ状態になります。
レンズ手前(マウント側)を回せばズームできますが、
回転幅がやや狭いこともあり細かな画角設定は少し難しい場面も。
細いながら先端にフォーカスリングが設置されている
単焦点パンケーキレンズ(14mm)とほぼ同じ厚み
焦点距離が無いためズームさせてどの焦点域なのかカメラ側で確かめる必要があります。
マウントは金属製で安心感を与えてくれます。
M.Z. D. ED 14-42mm F3.5-5.6 EZは広角14mmから始まるためやや物足りなさを感じることも。
一方望遠側が43mmと長くポートレイトなどでは便利です。
自身の撮影スタイルが広角重視か望遠重視かによって好みが分かれるところ。
比較サイトなどで故障についてコメントが寄せられていますが断線が原因とも言われています。
故障抑止のためレンズの繰り出しON/OFF動作は最小限にとどめることで軽減できそうです。
原因と使用のコツがわかれば故障発生率も低く抑えられることでしょう。
うまく付き合って長く使う工夫を
肝心の写りは周辺部の解像度がもう一つと言われますが、
パンケーキレンズだけにPROレンズ並の性能を求めるのも酷です。
ZUIKOレンズらしいキリッとした描写
カメラ内手ぶれ補正でブレなし撮影
コントラストは良好
高級感を醸し出しながら世界最軽量という異名を持つレンズは魅力的。
超軽量レンズという特性を活かしOM SYSTEMならPEN・E-M10、
LUMIXならDMC-G100など軽量カメラに最適です。
LUMIX G X VARIO PZ 14-42mm F3.5-5.6 ASPH.
Panasonicから初の沈胴式電動ズームとして発売され約15年の販売実績があります。
ズーム方式は電動ながらM.Z. D. ED 14-42mm F3.5-5.6 EZと異なり、
レンズの稼働はリング方式ではなくレバーによる移動が採用されています。
使い勝手は一般的なレンズと同じ方式のM.Z. D. ED 14-42mm F3.5-5.6 EZの方が有利。
ただこのレンズは動画を主体に設計されているようで三脚使用なら問題ありません。
静止画用レンズと少し使い方が違うから慣れが必要
フォーカスはズームレバーの下部にあり、2つのレバーでズームとフォーカスを変化。
レンズ横のレバーでズームとフォーカスを制御
レンズ内手ぶれ補正POWER O.I.S.が搭載されていることからLUMIXとの相性は抜群です。
望遠側が42mmと広くなっておりポートレイトには最適です。
ただしこちらも広角側が14mmとやや物足りなさを感じることもありそうです。
12mmもしくは9mm程度の広角単焦点レンズを持参すれば安心して撮影が楽しめます。
電動式はリング・レバー式のいずれも稼働幅が狭い影響でズーム感覚が持てないところが難点。
逆にスムーズなズーミングが得意という利点を活かし動画専用と割り切ってもいいでしょう。
動画撮影は断然電動ズームだね
LUMIX独自のナノサーフェスコーティングでクリアな映像を実現させています。
多くのレビューでは故障発生をあまり見かけないことから製品安定性は良好です。
こちらも金属マウントを採用しており高級感を感じられる作りになっています。
LUMIX G VARIO 12-32mm/F3.5-5.6 ASPH.
LUMIX G X VARIO PZ 14-42mm F3.5-5.6 ASPH.と同じくコンパクトなパンケーキズーム。
折りたたむと全長24mmという極小サイズ。
このレンズは手動式で撮影時のスタンバイはズームリングをしっかり回す必要があります。
手動式レンズには焦点距離がプリントされているので瞬時に撮影状況がわかります。
ただ沈胴式レンズなのでレンズの繰り出し忘れでシャッターチャンスを逃すこともあるので、
撮影の姿勢に入ったら何をおいても速やかにレンズを繰り出しを忘れずに。
ズームを回してくださいって何?
スタンバイ状態にないから12mmの位置まで回して
パンケーキズームの中で唯一12mmの画角を含んでおり貴重な存在。
望遠側32mmとやや物足りなく感じますが、
広角12mmか望遠42mmを取るかでレンズ選びが決まります。
描写はパンケーキレンズながら周辺の解像度も良好でまずまずの映像。
フィルター径37mmと小さい
スタンバイ状態
後期型はプラマウント採用
純正フードは存在しない
パンケーキらしく全長は大変短い
サードパーティーフードが似合う
フォーカシングでレンズ先端が回転しないためフィルターワークに最適です。
このレンズには純正フードが販売されていません。
そのためステップアップリングでフード代用などという苦労記事もありますが、
最近では広角用の穴開きフードがサードパーティーとして販売されています。
12mmで紹介したように長さが短い穴開きフードなら保護フィルターを付けてもケラレなし。
格好も悪くなく、少しでも逆光による映像の乱れを防止するためフード装着をオススメします。
レンズ内手ブレ補正機能が搭載されていることからDMC-G100などの小型カメラに最適です。
12mm広角は撮影に余裕が出る
小さいレンズなので氣軽に撮影できる
開放でのボケは期待できない
レビューではズームカバーが外れるといった故障報告がありますが、
どうやらトラブル発生は初期型の金属マウントのレンズに発生する可能性が高いようです。
まとめ
パンケーキズームはOM SYSTEMとLUMIXの2社から販売されている貴重な存在です。
マイクロ・フォーサーズをスナップ撮影で利用するなら選択する価値は十分あります。
小型軽量化を達成するため写りという面である程度の妥協は必要でしょう。
しかしそれを上回る魅力が備わっており、
マイクロ・フォーサーズのカメラを使用しているなら1本は購入しておきたいレンズです。
PENシリーズやGM系カメラと非常にマッチングするパンケーキレンズは、
ぜひオススメしたい逸品です。
コメントはお氣軽に