マイクロフォーサーズで使用したい三脚|ブレない写真でランクアップ
手ブレ補正があるのだから三脚なんて要らないのでは。
マイクロフォーサーズ(OM/オリンパス)のカメラを買ったけど三脚は必要なのだろうか。
三脚ってどうやって選べばいいの。
色んな種類があって何を基準に選べば良いのかわからない。
マイクロフォーサーズ(OM/オリンパス)を使っていて三脚についてのいろんな悩みは無いでしょうか。
本記事では
- マイクロフォーサーズ(OM/オリンパス)を使った三脚選びがわかる
- 三脚をどんなとき使えば良いのか理解できる
マイクロフォーサーズ(OM/オリンパス)に三脚は必要なのか
結論からいえば必要ですが条件付きです。
なぜならどれだけのシャッター速度で撮影するかに依存するからです。
フィルムカメラ時の手ブレ限界は以下のように示されていました。
シャッター速度(SS)の分母にあたる焦点距離が手持ちで撮影可能な限度である。
解説:焦点距離30mmレンズを使用するなら、手持ち限界はシャッター速度1/30
デジタルカメラになってから手ブレ補正機能が取り入れられ格段に手持ち撮影が増えました。
その理由は◯段分のシャッター速度の手ブレ補正機能が加わったからです。
たとえばZUIKO 50 mm(フルサイズ換算100mm相当)を用いたとします。
フィルム時代であれば、シャッター速度1/125が手持ち限界。
フィルム時代は書籍に撮影スタイルが詳しく書かれていた
ところが5段分の手ぶれ補正が仮にあるなら一氣に1/4まで手持ち許容となったのです。
撮影スタイルは脇を締めてしっかりとホールディング
説明すると、1/60(1段)、1/30(2段)、1/15(3段)、1/8(4段)、1/4(5段)だからです。
段数 | シャッター速度 | 手持ち撮影 | |
---|---|---|---|
マイクロフォーサーズ | フィルムカメラ | ||
0 | 1/125 | 可 | 可 |
1 | 1/60 | ||
2 | 1/30 | 難 | |
3 | 1/15 | ||
4 | 1/8 | ||
5 | 1/4 | ||
6 | 1/2 | 難 | 不可 |
7 | 1 | 不可 | |
8 | 2 |
この効果のお陰で、デジタルカメラでは三脚必須的な考えから開放されました。
プロなら2段遅い手持ちも可能という逸話もあった
スナップなどの速射性を求められる撮影は、もともと三脚を使用することはありません。
一方で通常、室内での撮影では暗くシャッター速度は遅くなる傾向にあります。
こんな場合5段分の手ブレ補正は大変効果的です。
Zuiko100mm(換算200mm)で手持ちができるのは手ぶれ補正のおかげ
室内では三脚を立てる余裕が少なく、場所によっては許可も必要になります。
シャッター速度と絞りの関係
OM-1 MarkⅡでは10秒間のシャッター速度でも手持ち可能との情報がありますが、
手持ち可能といえど完全に三脚から開放されたという結論にはなりません。
なぜならカメラには絞りとISO感度という2つの要素を絡める必要があるからです。
シャッター速度5段分であっても、それが開放絞り時であるならどうでしょう。
レンズの開放値で手ぶれ補正ギリギリなら三脚は必須
仮にボケ味を活かした撮影なら絞りは開放値相当ですから大丈夫です。
ところがパンフォーカス(画面全てにピントが合う状態)なら絞った撮影が求められます。
2~3段絞った撮影を行うなら、当然シャッター速度は2段から3段分遅くなります。
こうなると手ぶれ補正のありがたみが薄れていきます。
表を御覧ください。
絞り値 | シャッター速度(秒) | マイクロフォーサーズ 手持ち撮影 |
---|---|---|
4 | 1/4 | 可 |
5.6 | 1/2 | 難(条件による) |
8 | 1 | 不可 |
11 | 2 | |
16 | 4 |
絞りが1段づつ大きくなるにつれシャッター速度が1段づつ遅くなります。
ZUIKO 50 mm(フルサイズ換算100mm相当)を使い絞り開放時にシャッター速度1/4秒であったとします。
絞りを3段絞り込むとシャッター速度は一氣に3段遅くなります。
室内の日中撮影でもパンフォーカスだと三脚は必須
つまり1/2(1段)、1秒(2段)、2秒(3段)の2秒撮影が必要になります。
OM-1 MarkⅡなら手持ち撮影ができるかもしれませんが高機能では無い機種なら事実上不可能です。
シャッター速度とISOの関係
これはISOとの関係にも大きく関わります。
デジタルカメラになってから高感度ISOが当たり前になっています。
機種によっては100万単位での超高ISO感度実現をうたった物もあります。
ISOを上げ過ぎるとノイズが多くなるよ
技術革新で高感度ISO撮影が可能だとしても、綿密な作品に仕上げるならおおよそISO3200~6400が実用限界値です。
もしストックフォトなどに投稿するならISO640以下に抑えることが求められます。
たとえばZUIKO 50 mm(フルサイズ換算100mm相当)手ぶれ補正5段の機種で、
シャッター速度が1/4秒だったとしましょう。
ノイズ除去のためISO800まで落とす必要があるとすれば、
ISO | シャッター速度(秒) | マイクロフォーサーズ 手持ち撮影 |
---|---|---|
6400 | 1/4 | 可 |
3200 | 1/2 | 難(条件による) |
1600 | 1 | 不可 |
800 | 2 | |
16 | 4 |
ISO3200(1段)、ISO1600(2段)、ISO800(3段)で3段分のシャッター速度低下となります。
当初ISO6400で1/4秒だったシャッター速度が一氣に2秒と遅くなるわけです。
撮影はSSだけでなく絞り値とISO感度が大きく関係
デジタルカメラになって手ぶれ補正はおおきな恩恵を与えてくれました。
ところがその効果は万能ではありません。
デジタルカメラの時代でも、高解像度・低ノイズの高品質を追求するなら三脚は必須なのです。
レンズを選べば手持ち10秒間も現実に
これまでは手持ち撮影の限界点を述べてきましたが、
他のブログで10秒手持ちが掲載されているじゃないかと思われるかもしれません。
実際に10秒手持ちは可能。
これはホントです。
ただこれにはカラクリがあるので鵜呑みにしないことです。
嘘ではないけれどキチンと条件設定された手持ち10秒
理由は広角レンズ使用という事と、手ブレしない条件設定で事前に撮影可能が確認されているからです。
たとえば12mm(フルサイズ換算24mm)で1/15~1/30秒の手持ち撮影できたとします。
ここにNDフィルター約7段分を装着したら、シャッター速度は8秒~4秒となります。
そこに手ぶれ補正7段の性能をもつカメラを使用したなら理論上のシャッター速度は、
1/15~1/30秒で切ったことと同じ。
シャッター速度(秒) | ||
---|---|---|
通常撮影時(手ブレ無) | NDフィルター装着後(ND 128) | 7段の手ぶれ補正効果による 「理論上」のシャッター速度 |
1/15 | 8 | 1/15 |
つまりNDフィルターによる低速シャッター分がカメラの手ぶれ補正機能で相殺されているだけです。
何でもかんでも10秒手持ち撮影が可能ということではありません。
M.Z. D. 300mm F4.0 PROで手持ち10秒したい
絶対無理
これまで述べてきたように手ぶれ補正が無いカメラでは、
手持ち撮影可能範囲は「1/フルサイズ換算の焦点距離」が基本となります。
標準レンズ(例:25mm/換算50mm)や望遠レンズ(例:50mm/換算100mm)を用いる際に、
広角12mm(換算24mm)と同条件での手持ち10秒はあまりにも冒険的です。
三脚を選ぶときに氣をつけたいこと
三脚はできるだけ撮影時には持参したいところです。
ただし三脚はかさ高く重量が増えることから最低限で済ませたいと考えるのが一般的です。
三脚の選び方ですが、以下のようなポイントを頭に入れておきたいものです。
- 軽すぎず重すぎず
- クイックシューはできるだけ付ける(もしくは付いたものを選ぶ)
- 自由雲台よりも3ウェイ方式がベター
軽すぎず重すぎず
撮影者にとって三脚は使う頻度が低いことからできるだけ軽いものを選びたいものです。
これはある意味正解です。
しかしマイクロフォーサーズ(OM/オリンパス)の組合せが三脚の大きさを決定づけます。
つまり軽すぎるでは三脚があったとしても役不足におちいる可能性があるからです。
要因の一つは転倒です。
PROレンズでも400g程度の軽いレンズなら問題はないでしょう。
ところがM.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PROのような600g近くの重さになると話は違います。
カメラの重量が500g前後なら総量で1 kgを超えてしまいます。
三脚にはそれぞれ耐荷重という指標があります。
耐荷重はブレ耐性を保証するものではありませんが参考にはなります。
ただ氣象など使用環境によってはブレ耐性の条件が変わるため絶対的な指標とはなりません。
安定した場所での使用なら耐荷重以内の総量で機材を載せることができるからです。
一方で耐荷重を上回るカメラとレンズをセットしたならバランスを欠き転倒を引き起こしかねません。
頭でっかちな組合せなら風で倒れることもあるよ
つまり安易に三脚を選ぶとカメラを損傷させる危険性があるのです。
三脚を購入するなら耐荷重を必ず見る癖をつけてください。
メーカーによっては耐荷重の表現が異なります。
VelbonやSLIKは国産三脚で有名で、なじみのある老舗メーカーです。
カーボンやマグネシウムを多用した製品づくりに長けています。
Velbonのサイトでは三脚の耐荷重について以下の2つが掲載されています。
推奨積載質量と脚最大荷重。
用語は各社独自の考えがあるようで、ユーザーは用語から類推して性能を判断することになります。
今回、Velbonに推奨積載質量と脚最大荷重の違いについて問い合わせしてみました。
回答は以下となります。
例を上げると
推奨積載質量1.5 kgなら、ミラーレスと標準ズームレンズまでを推奨範囲。
このような詳細な内容も教えてもらえました。
同様の三脚でManfrottoのElementトラベル三脚(自重1.15 kg)の製品があります。
ここには最大耐荷重4 kgと記載があります。
Velbonから頂いた回答をManfrottoのElementトラベル三脚に当てはめてみましょう。
ManfrottoのElementトラベル三脚(自重1.15 kg)の最大耐荷重4 kgはVelbonで示される脚最大荷重に相当します。
つまり実用的な耐荷重ではなさそうです。
VelbonのUT-3ARの最大耐荷重6kgに対しManfrottoのElementトラベル三脚の最大耐荷重4 kgとなっています。
VelbonのUT-3ARが推奨積載質量1.5 kgと記載されています。
つまりManfrottoのElementトラベル三脚の推奨積載質量は約1 kgと推定できます。
よくManfrottoのElementトラベル三脚は4 kgまで大丈夫という記事を見かけます。
しかし実際にはカメラとレンズ合わせて1 kgが実用範囲のようです。
VelbonのUT-3ARとManfrottoのElementトラベル三脚は作りがほぼ同等です。
そのため両者ともにミラーレス+標準レンズもしくは軽量標準ズームが推奨となります。
軽量三脚は非常に魅力的です。
しかし実用性で三脚を使ってみたものの、結果的にブレ写真ばかりとなっては持ち出した意味がありません。
三脚を選ぶ際は推奨積載質量と連れていきたいカメラとレンズの組み合わせをよく考える必要があります。
クイックシューはできるだけ付ける
クイックシューとはカメラの底部につけるプレートのようなものです。
あらかじめクイックシューをつけておくとカメラと三脚の装着が素早くできます。
クイックシューの詳細は別記事で述べようと思います。
ここでは簡単にクイックシューの紹介をしておきたいと思います。
クイックシューは三脚側にベースシューを取り付けておき、カメラにはクイックシューを取り付けます。
一度クイックシューを使うとねじ込み取り付けはできなくなる
メーカーによって取付方法は異なります。
Velbonはクイックシューの歴史が長く、フィルム時代からお世話になっています。
Velbonの特長はワンアクションで三脚との接続が可能となるところです。
三脚穴にカメラの底部のネジをねじ込む時間はかなり長くなり、取外しが面倒です。
面倒な作業が続くと、必要な作業であっても三脚を使うことを避けてしまいがちです。
その結果、ブレ写真のオンパレードということにもなりかねません。
三脚を購入する際はクイックシューが最初からついているものか、別途購入したほうが後々楽になります。
自由雲台よりも3ウェイ方式がベター
三脚はそれ自体では使うことはできません。
三脚の上部には必ず、雲台というものが取り付けてあります。
雲台には自由雲台と3ウェイ雲台と呼ばれる2つのモデルがあります。
自由雲台はかさばらず、重量も比較的軽量なモデルが多いです。
一方、3ウェイ雲台は前後左右に独立した動きがある点が特徴的です。
3ウェイ雲台は見た目、かさばりが大きく重量も自由雲台に比べ重くなります。
安定感は3ウェイ雲台は抜群です。
じっくり被写体と向き合いたいなら3ウェイ雲台は最高
カメラを動かす際に稼働ロックを解除(アームのネジを外す方向に)しても容易にカメラが動きません。
他方、自由雲台はワンロックでボールが締め付けられることでカメラが固定されます。
そのためロックネジを緩めた瞬間、締め付けられたボールがフリーとなります。
自由雲台は基本カメラを持って作業すること
フリーとなったボールはカメラを取り付けたままだと自重であらゆる方向に一氣に傾きます。
センターポールを上げずに使用した場合、自由雲台のロック解除は注意が必要です。
もしロック解除で自重による傾斜に氣付かないとカメラが三脚の角に当たる事故が発生するからです。
自由雲台は便利ですが、使い方に慣れておく必要があります。
マイクロフォーサーズをしっかりとしかも安全に三脚で撮影を行うなら3ウェイ雲台が確実です。
三脚を選ぶ基準
オリンパスカメラを使用しても、レンズは被写体と目的とする撮影によって人それぞれです。
スナップ中心ならカメラを下げていくだけで十分ですが、ミニ三脚があれば夜間撮影に重宝します。
結婚式など室内で暗めの場所なら標準レンズを中心とし、望遠レンズ1本を持っていくことになるので推奨積載質量1.5 ~2 kgまでのものが向いています。
ベルボン 小型アルミ三脚 3段 SHERPA 435III N(シェルパ435 3 N) SHR435-3N [3段] 価格:28,380円 |
山岳なら広範囲が写し込めるレンズ1本で重量の関係もあるのでトラベル三脚を選択。
野鳥撮影なら超望遠レンズを持参するため推奨積載質量2 ~3 kg程度のしっかりしたカーボン製。
三脚はできるだけ大きなカメラとレンズのセットに対して対処できるものが理想的です。
しかし移動手段によって理想が叶うかどうかが分かれます。
そんな場合、想定される撮影で一番良く使用するだろうレンズとの組合せに見合う三脚を選ぶことです。
いろいろな撮影を考えるなら三脚は複数本必要になるね
オリンパスカメラが大変優秀なのは、カメラとレンズとのセット重量がフルサイズに比べ格段に軽くなる点です。
軽量化は自動的に持参する三脚の重量も軽減してくれます。
超望遠レンズであっても自重が軽くなれば準備する三脚もワンランク下げられます。
使用場面で選ぶ三脚
使用場面と選定される三脚との組合せを表にしてみました。
これまでの撮影経験に基づいて選んでいます。
オリンパスカメラで選んではいけない三脚
スマホの台等により三脚の世界がさらに拡大しました。
その一つに一脚のような三脚の登場があります。
三脚といえど、地面から30cmほどの範囲で広がる三脚に似た1脚です。
この製品は、きゃしゃでオリンパスカメラでも使用はできません。
バランスが悪く付けると必ず転倒するからです。
この手の製品は、スマホや360度カメラを取り付けるのが関の山なので、選択肢に入れないようにしましょう。
三脚使用時は手ぶれ補正はオフに
オリンパスカメラは手ぶれ補正が初期設定でオンになっています。
手ぶれ補正は手持ちの際の揺れを検知し、自動で補正してくれるシステムです。
ところが三脚に固定した際の微細な揺れは逆に感知しすぎて手ぶれ補正を極端にする場合があります。
この減少を防ぐためにもカメラ設定では手ぶれ補正をオフにして撮影しましょう。
手ぶれ補正オフし忘れで必ずブレるわけではないけど設定すると安心
オフ設定は、十字の真ん中にあるOKボタンを押すことでメニューが表示されます。
必ずオフでなければブレるのかというとそういうわけではありません。
リスクを減らす意味でも取扱説明書に記載の内容に従った方が安心ということです。
三脚が壊れたときどうすればいいか
三脚はデジタルカメラと違い、モデルチェンジが早くはありません。
しかしながら製造中止となる時期は必ずやってきますので、故障した場合はメーカーのホームページから問い合わせしましょう。
多くは石突などのパーツ紛失によるものですが、これは部品番号から購入できる場合もあります。
一方で脚が曲がってしまったなどの重修理についてはホームページに記載がないことが多いです。
過去にManfrottoの190の三脚で鋳物の部品に割れが生じたことからメーカーに問い合わせしたことがあります。
その際は交換可能ということでしたので、メーカーに送り部品交換で完治しました。
氣に入った三脚なら破損しても諦めずメーカーに問い合わせを
製造中止後は部品の残数が限られます。
メールや電話で問い合わせし修理可能かどうかメーカーに確認しましょう。
できないと思っていた修理も問い合わせによっては可能なこともあります。
修理可能とわかったときはおおよその費用を確認し、新品購入との比較も忘れず実施しましょう。
まとめ
三脚選びは実に大変です。
フィルムカメラでは35mmカメラらから4インチ✕5インチフィルムを用いた大型カメラまで使用しました。
その間、三脚は複数本を購入しました。
デジタル時代になってから35mmカメラで使用していた三脚よりも軽量なもので済むようになりました。
ミニ三脚も使いやすく魅力的な製品が登場していますので選択の余地は、2000年頃に比べ格段に上がっています。
家電量販店で見て触ってみても結局のところ実場面で使用してみないとわかりません。
この記事を見てどんな三脚を選べば良いのかを学んでいただけたなら幸いです。
コメントはお氣軽に